バイオレット・ダークルーラー



大人っぽく、どこか可愛さも感じるアイボリーのAラインワンピース。黒のべっ甲の細ベルトがアクセントになっている。

…タグが付いていて間違いなく新品だった。値段は切られていたけれど、高いのは分かってる。雑誌で見た新作で、買えるわけはないけれど可愛いと思ってたワンピースだったから。



「お客様、」



そもそもわたし、…紫月さんの部屋で裸だったような。

紫月さんと…その、あれやこれやしたあとに着替えた記憶はない。わたしが気を失ったのなら尚更。

……ってことは、元々着てたセットアップを着させてくれたのは紫月さん…?



「朱里様、」

「っ!」



そこでわたしの浮遊していた意識は、間違いなく地に着いた。

店員さんが微笑みをひとつ携えて、わたしの名前を呼んだからだった。




「すみません、紫月様からお名前は伺っておりました」

「い、いえ!名乗っていなくてすみません、水城朱里と申します…っ」

「ふふっ」

「あの…、」

「…失礼いたしました。紫月様がおっしゃる通り、礼儀正しい方なのだと思いまして」

「………、」


「やはり、貴女に託して正解でした」

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