イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
「……うん。」
だって、すごくびしょ濡れだった。
あのまま家に帰ったらきっと風邪ひいちゃうと思った。
だから何とかしてあげなきゃ、そう思ったら身体が勝手に動いていて……
……だけど。
あのときの距離感や張り詰めた空気を思い出すだけで、あの瞬間に戻ったような錯覚を起こしてドキドキしてしまう。
「だからね、俺、何かしてあげたかったんだ。結衣ちゃんが気に入ってくれるか分からなかったけど、結衣ちゃんをイメージして選んでみた」
えっ……?
「わ、私をイメージ…?」
「うん。」と返事をしたあと、私が手に持っているハンカチの端っこを指差した向葵くん。
「これが、俺の中で結衣ちゃんのイメージにぴったりだったんだよね」