イケメン男子と疑似恋愛⁉︎


あれからどうやって歩いてきたのかな。

気がつけば、向葵くんといつも話していた、校舎裏のベンチへ座っていた。


「……どうして…」


力なく、吐き出したそれ。

風に流されてどこかへ消える。

──そのはずだったのに。


「何かあったのか」


不意に背後から聞こえてきた、聞き覚えのある声に振り向こうとしたが、目の前へやって来たその姿を見てハッとした。


「……佐野、くん。」

「なんか元気ないな」


私を一瞬見たあと、当たり前のようにベンチへ座った佐野くん。

足組みをして頭をかいたあと「何かあったのか」と再度、私に聞いてくる。

「あの…」と走りだそうとした言葉を止める私。

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