イケメン男子と疑似恋愛⁉︎
「そ、それより、佐野くんはどうしてここにいるの?」
そう尋ねると「俺?」と呟いたあと、しばらく言葉が途切れた。
そして、口を開いたかと思えば。
「……まあ、散歩みたいなもん?」
なぜか、疑問形になっていた。
てっきりここに用があるから来たと思ったのに、ただの散歩だったんだ。
……まあ、でもほんとのことを言うと、今は誰にも会いたくなかったかも。
ズキズキと痛む心を隠し通すのが限界だと思った私は、立ち上がろうとした。
──それができなかったのは、なぜか、佐野くんが私の肩に手を伸ばしたから。
えっ……?
な、何……。
「…あいつとはどう?」
そう、聞かれて。
ドクンッと嫌な音が弾けた。
……何これ。こんなの私、知らない。