こんな溺愛、きいてない!
それから30分後。


なんだろう、
この謎のフォーメーション。


映画を見ながら、
右手に鈴之助、左手には遥先輩。


なんで3人で映画見てるんだろ?


ラブコメ映画のはずなのに、
ホラー映画を見てるような
ピリピリとした空気感。


笑いたくても笑えない張り詰めた緊張感。


どうしてこんなことに?


「あのさ、なんで遥さんが、
うちで映画見てんの? 
せっかく凛花とふたりで、
おうちデートするつもりだったのに」


「デート!? 
ちょ、ちょっと鈴之助、デートってなに!?」


慌てふためくと、
鈴之助が甘えたように口を尖らせる。


「だって、デートじゃん。
こんなの、おうちデートじゃん。
俺と凛花のおうちデートだし」


「な、なに言ってるの? 
あ、役作り? セリフの練習?」


「つうか、凛花は俺のモノだけどな。
従兄弟の鈴之助くん。
知ってた? 
凛花はどこもかしこも俺のもの」


いい男オーラを全力で放出させている、
遥先輩のうかつな口を必死でふさぐ。


「遥先輩、
誤解されるような言い方しないで!」


すると、
今度は鈴之助が視線を尖らせる。


「あーあー、
俺も凛花のガッコに一緒に通おうかな。

遥さんと同じ学校なんて、
安心して凛花のこと通わせられないよ」


「だ、大丈夫だよ、鈴之助! 
好き勝手やってるように見えるけど、
遥先輩、学校では……えっと、学校では……」


だ、ダメだ。
遥先輩、学校でもフォローのしようがない
くらい、やりたい放題やってる……。


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