こんな溺愛、きいてない!
放課後、
遥先輩が本当に
我が家にやってきた。
 

「お、眼鏡、外してるじゃん。
えらい、えらい」


甘い笑顔で頭を撫でられて
ドキリ。 


「い、家ではいつも
眼鏡してないよ」


でも、普段はスウェットなのに、

今日は遥先輩が来るかもしれないから
ちゃんと着替えてるあたりは
いつもと少しちがう。


鈴之助がいなくて、良かった。


「これ、ベルギーのチョコ。うまいよ」


遥先輩が手にしている
見るからに高級そうな
チョコレートをそろそろと受け取る。


「……一粒、千円とかしない?」


「さあ?」


「これを、わざわざ
届けに来てくれたの?」


「いや、それワイロだから」


「……じゃ、いらない。
遥先輩からのワイロなんて
怖くて受け取れないよ」


その見返りを
想像するだけで、恐ろしすぎる!


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