こんな溺愛、きいてない!
控室のような場所で
ぐったりしていると、

モニターを覗き込んで
遥先輩と鈴之助が盛り上がっている。


「凛花、すごいじゃん!」


「凛花の無気力な感じと
メイクや衣装の攻撃的な感じが
うまくコラボされてて、

すげえカッコいい。

俺のおかげで、色気もでてるし」


「は? 遥さん、凛花になんかしたの?」


「……いや、別に」


ふたりの会話にぼんやりと
耳を傾けているものの、

疲れすぎて、
なんだかもう記憶が曖昧で…

睡魔が…濁流のように
押し寄せてくる。


「あのさ、ずっと思ってたんだけど
鈴之助って意外とシスコンじゃね?」


「でも、凛花は姉貴じゃないし。
それに…

遥さんさ、いとこ同士って
結婚できるって知ってた?」


「は?」


「だから、あんまり
凛花にいたずらしないでね、
俺の大事な凛花なんだ」


……ふたりとも、
なんの話を…してるん、だろ。

ふたりがなにやら話している横で

強烈な睡魔にのまれて
意識が遠のいていった。


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