こんな溺愛、きいてない!
押収された高山先生の
PCやスマホからは

生徒の盗撮写真が
大量に見つかり

高山先生は、
即日懲戒免職になった。


翌日の学校は、
高山先生の話題でもちきりだった。


警察の配慮で、
私が監禁されかかったことは
公表されなかったおかげで、

不名誉な憶測が飛び交うことは
避けられた。


学校は、
緊急保護者会の真っ最中。


急遽自習になったその時間を

屋上で遥先輩と並んで、
高い空を眺め見る。


青い空は澄み渡り、
心地のいい風が屋上を吹き抜ける。


「少しは、落ち着いた?」


柔らかい遥先輩の笑顔に、
小さくうなづく。


「すぐに遥先輩が来てくれたから、
嫌な記憶も抹消された」


そのくらいに、
遥先輩は温かかった。


恐怖も、痛みも、
全てを溶かしてくれるくらいに、

温かく包んでくれた。


けれど、

目を細めて
空を見上げる先輩の横顔は

いつもの煌めきが
影をひそめている。



< 196 / 288 >

この作品をシェア

pagetop