Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~


そんなこんなで8:00になる。

…人少ないな。

「掃除行ってください」といったりんにより廊下には出たが、カバンの数が3年も2年も人数の7割といったところか。

これも日常。多分原因は2つ。
ひとつ上の先輩が甘かったから、設楽先生が来たから。

ここの吹部は私たちが入部する前はとてもブラックだったと聞いたことがある。
それを3つ上の部長さんが変え、ホワイトになったのはいい。2つ上の部長も厳しさと優しさを兼ね備えた人だった。
ひとつ上の部長は、優しすぎた。別にそれがいいとか悪いとかは一概に言えないし、楽器も上手くてすごい先輩ではあったのだけど。


私たちには良くなかったのかもしれない。

そして、設楽先生はとても時間にルーズなタイプ。多分直接的な原因はこっち。

色々ありすぎてどれが問題なのかすら分からないな。
それを解決できない自分もまた問題なのだろう。

自分で自分を自嘲する。

「美玲先輩?」

暗い気持ちでいるところに、声が掛かる。

「掃除行かないんですか?」

声の主は、トロンボーンパートの後輩、豊島夏音(とよじまかのん)だった。萩も一緒だ。

「行くよ」

清掃の場所は、各パートごとに決まっている。トロンボーンは、2階の女子トイレ。

2人と歩いていると、曲がり角から人が現れた。

「愛!」

「愛先輩!」

同じトロンボーンパートの島田愛(しまだあい)である。可愛い。

荷物を置いた愛がこちらに来る。

「ごめんなさい遅れました」

「また寝坊?」

「朝ごはん食べるのに時間かかっちゃった。」

何その可愛すぎる理由。

「次から気をつけてよ。」

「はい」

…私が愛に甘すぎるのかな。

多分、男子だったらめちゃめちゃに叱ってる。その自信しかない。



掃除を終え、体トレのために4人で談笑しながら調理室前の廊下に戻ってきた。

金管はみんないる。

掃除が早いのかサボってるだけなのかは不明だけど。

腕時計の時刻を確認すると、8:12を指していた。

ホルンパートの隣に並ぶ。



体のトレーニング、通称体トレでは、セクションリーダーであるあやとけいが仕切って呼吸法やストレッチを行う。

個人的にはみんなを教育するのに丁度いい場所なんだけど。

あやがメトロノームを持ってきた。

あとはサックスだけかな。

「学指揮」

このタイミングで話しかけてくるということは。

「ん」

調理室前の廊下は、時計が着いていないので、私は腕時計をつけた方の手首をけいに差し出す。

「OK、ありがとう」

「はいよ」

なんと淡泊な会話だ事。



お、サックスパートがお戻りだ。

「では、2人組でストレッチお願いします」

けいの指示で、今日も我が吹部は体トレをはじめるのであった。
< 22 / 30 >

この作品をシェア

pagetop