Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~
手を洗ってリビングに入ると、生姜焼きがテーブルにあった。

…やったね。

「どうせ3枚食べるんでしょ」

えっ、確定なの。

「うん、お腹減った。」

麦茶をコップに注ぎながら答える。

1日駆け回りすぎて胃袋の中身がほとんどないのだ。

「いただきます」

シーザーサラダと生姜焼きと白米。

組み合わせが良すぎないか。

「で、クラスはどんな感じ?」

ママに聞かれ、私はまだ何も今日のことを話してないことに気づいた。

「5組だった。幹部のみんな全員同じクラスなん。設楽先生が副担任だし。」

「幹部みんなってことは、けいくんも?」

…えっ、そこ?

一応けいと付き合ってることは親に話してある。私とけいと同じくらいに親が役員同士で仲がいいので合法的に遊びに出かけられるので幸せだ。

「まぁ、そうだね。」

「テストの点数で争ったりするの?」

「おぉ、確かに!」

あやからのLINEには謙遜したが、私とけいは恋人同士でありながら学年トップを争うライバルである。
2人とも5教科でなく副教科含めた全てで稼ぐタイプなので、定期テストのときの勝負は凄まじい。

「上川先生はどこの担任なの?」

ママは上川先生のことを非常に気に入っている。確かに、ふくよかな体型で優しさの滲みでる顔をした上川先生は生徒からも人気である。私には分からないが、上川先生が社会でなく英語の先生であることがママ的にはツボらしい。

「担任はもってない。3年担当だけど、2組の副担。」

そこまで言って思い出し、付け足す。

「あと、進路担当だって。」

そう答えると、ママに突然見つめられる。

「えっ、何?」

「美玲。」

「うん」

「それも大事だけど、上川先生が5組だっけ?の英語担当かどうかが大事じゃないの!?」

いや、そんな大事じゃない。

「他の先生も一緒に回してるから、上川先生が担当かどうかはなんとも言えない」

「じゃあ、明日上川先生にお願いしてきな!」

何を言ってるのママ。

「ちょっと遠慮しとく」

そんな会話をしていると、リビングの扉が開いた。

「おかえりー」

パパだ。

「おう、ただいま。」

って、もうパパが帰ってくる時間なのか。

「受験生はどうですか?」

冗談半分でパパに聞かれる。

…まだ始まったばっかりですが。

「クラスは良さそ。あと今は部活第1だから。」

そう答えると、パパは苦笑する。

「まぁ、程々にね。」

「はーい」




――そっか、部活ばっかで過ごしてる暇はないのか。




勉強に、部活に。恋愛。

どれも両立させたい。


(もっと頑張らなくちゃ。)



そんなふうに思う、3年生のスタート――
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