好きって言えたらいいのに

3


 それから私たちは、それぞれ始まる仕事のために、商店街まで一緒に戻った。

「ちなみに俺、かさねのこと振ってなんかいないよ。」
 周りに注目されることを気にして繋いだ手を離そうとした私の手を、ヘイちゃんは決して離そうとはしなかった。
「言ったじゃん、新潟の海で…。」

「そばにはいられないって言ったけど、かさねのこと好きじゃないなんて、死んでも言わない。」
 ヘイちゃんが舌をペロっと出して微笑んだ。

「ヘイちゃんはずるい大人だ…。」
 あの海での出来事を反芻して私がそう呟くと、ヘイちゃんは繋いだ手にキスを落とした。
 恥ずかしくて顔を背ける。
 ヘイちゃんは私のそんな反応さえ楽しそうだ。

「これからは俺がかさねを幸せにするから。」

 ヘイちゃんが私の耳元でそう囁いて、微笑んだ。

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