医者の彼女
そういえば、喘息が出やすいから走るなって
言われてたっけ…。

足を止め呼吸を整えようとするが
どうしてか空気が全然入ってこない。

「ハッ…ッ…ゴホッゴホッゴホ」

息を吸おうとするのに…ダメだ。
咳がとまらず息が吸えない。

「ハッ…ハッ…ゴホッゴホッ…」

とにかく、ここから離れないと。
そう思い、再び歩き出すと…

和弥「亜妃!どこだ⁉︎」

京介「あきちゃーん‼︎」

遠くで和弥さんと京介さんの声が聞こえる。

気づかれる前に出て行こうと出口を探して
いると携帯がなる。

ヴーヴー

一瞬ドキっとするが…マナーモードでよかった。
これなら気づかれない。

はずなのに…こういう時、何故かあっさり
見つかってしまうもので。

和弥「亜妃、何してる⁉︎…大丈夫か⁉︎」

「ゴホッゴホッ…ヒッ…ヒッ」

大丈夫だから、戻って…そう言いたいのに
止まらない咳に、ままならない呼吸。

和弥「喘息発作に過呼吸まで起こしてるな…
亜妃、ゆっくり息しろ。大丈夫だから。」

見つかってしまった、と思うのと同時に
絶対的な安心感を覚える。

身体を支えてられて、背中をさすってくれる。
和弥さんが呼吸の仕方をリードしてくれて、
一緒に呼吸していると、さっきまでは
全然吸えなかった空気が身体の中に入ってくる。

和弥「ゆっくりでいいから。…吸入しよう」

そう言って、準備をしてくれて、言われるがまま
吸入をする。

しばらくすると呼吸ができるようになって、
吸入によって発作も落ち着く。
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