ブラックサンタクロース〜悪い子はどこ？〜

ドイツの首都、ベルリン。十二月の街はどこか華やかで賑わっている。だって、クリスマスがやって来るから。

クリスマスなどのイベントがやって来ると、あたしもわくわくする。だって悪いことがたくさんできるから！

「ねえ、あたしお金ないんだよね。貸してくんない？まあ返すつもりはないんだけど〜」

近道をするためなのかノコノコとあたしのテリトリーに侵入してきた馬鹿そうな女をあたしは壁際に追い詰め、ニヤニヤしながら手を差し出す。女は完全にビビって体をガタガタ震わせてる。当然だよね〜。

女は袖にファーがついた薄紫の上品そうなコートを着ている。どこかの金持ちの娘なのかな？だったら金を奪い放題じゃん！

「おい、何とか言えよ！！」

あたしはキレたような演技をし、近くにあった空き缶を蹴り飛ばす。女の口から「ひっ！」と悲鳴が漏れ、その薄い青の目からは涙があふれ出した。

「さっさと金出せっつってんだよ！！それとも殴られたいのか！？あぁ！？」