ブラックサンタクロース〜悪い子はどこ?〜
あたしは女の真横を何度も足で蹴る。すると、女は体を震わせながら高そうなかばんからブランドの財布を取り出した。やっぱり金持ちだ。ラッキー!

「こ、これだけしかないけど……」

女は震える手であたしにお金を渡す。これだけ、と女は言っていたけど女のくれた金額はあたしが遊ぶにはちょうどいいくらいの金だった。久しぶりにこんな大金をゲットできた。

「ダンケ。もう行けよ、用済みだし」

あたしが吐き捨てるように言うと、女は泣きながらその場を離れていく。どうせパパたちに泣きつくんだろうな〜……。あんな女、死んでもなりたくない。

あたしはアニカ。十五歳だけど、この辺りじゃけっこう有名な不良。喧嘩は日常茶飯事だし、学校へ行ってもあたしに逆らう者はいない。

親はとっくにあたしを見放しているから、誰も何も言ってこなくて好きなことを好きなだけやってる。例えば、万引きとか恐喝とかね。バレなきゃ犯罪は許される。この世界はそんな風にできているんだ。神様なんていないから地獄へ堕ちるとか気にしなくていいし、悪いことはし放題だよ。
< 2 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop