ねえ、知ってる?【上】



 大和くんは私と二人だと、こんなことを言ったりする。


 未だに陽十香の前ではあんまり笑わない。


 もう出会って二ヶ月も経つのに、まだ人見知りを発揮しているのかな。


「お邪魔します」


「はーい」


 私は玄関で靴を揃え、部屋の中に入った。


 部屋に入る前、キッチンに一人にしては大きいお鍋が置いてあるのを見た。


 私ならカレーを作る手間を考えて、レトルトで済ませてしまいそう。


「まだご飯食べないよな?」


「うん、まだそんなにお腹空いてないかも・・・」


< 214 / 395 >

この作品をシェア

pagetop