ねえ、知ってる?【上】



 確かに私と雅暉さんは10歳以上年が離れているし、私はまだ未成年だ。


 そんな私相手に、普通の大人ならやんわり断ったりするんだと思う。


 たとえその子のことが好きでも、自分の立場や相手のことを思った上でそうするのだろう。


 だけど雅暉さんは、『自分の気持ちに嘘をつきたくない』と言った。

 
 どれだけ正直な人なんだ・・・・・・。


「俺、こんなにどうしようもない大人だけど、苗ちゃんの気持ちは大事にしたいと思ってるから、今度デート・・・・・・してくれますか?」


「えっ・・・・・・・・・。はいっ!!」


 嬉しい。


 ずっと夢に描いていた光景が本当にやって来て、嘘なんじゃないかと思ってしまう。


 これは私の見ている夢の世界・・・?


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