ねえ、知ってる?【上】



 いつも行くカフェは家の近くにある通い慣れた場所だから緊張したりしないけど、初めて行く、それもアルバイトの面接を受けに来たと思うと余計に緊張してくる。


 うまく、話せるかな。


 よし、陽十香が言うように笑顔だ。


 大丈夫、私は出来る。


 目印の赤い扉を手前に引いた。


「「いらっしゃいませ」」


 私が扉を開けると同時に、中にいた店員さん達がお店でおなじみの声をかけてくれた。

 すぐに若い女の人が駆け寄って来てくれた。


 落ち着いた雰囲気の美人なお姉さん・・・。


「あ、あの・・・バイトの面接で伺ったのですが・・・・・・」


 私は笑顔を意識しながら用件を伝えた。


「はい、少々お待ちください」


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