女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 寝室に入ると、机の上にあった箱に気付き、絶句する。
 まさかこれを見たせいで、遥の態度が。

 直樹のやつ。

 半分は言い掛かりの思いを沸々とさせていると、遥が「あ、それ」と口を開いてドキリとする。

「アキ、煙草吸われたんですか。コートのポケットから、出てきました」

 馬鹿は、俺か。
 ポケットに入れっぱなしで、そのコートを遥にそのまま掛ける失態。

「いや。直樹に」

「直樹さんのですか」

 納得したような遥に、深く追及する方が藪蛇だと、この話は有耶無耶にする。
 本気で煙草と思っているのか、遥の表情は変わらない。

 先にベッドに入ると、遥も隣に横になった。
 体が触れないようにと、ベッドからずり落ちそうな場所にいる遥に、胸が軋んで鈍く痛む。

 狭いシングルのままにしていた、考えの無さをを後悔した。
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