女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

「アキ、新聞、逆さまです」

 遥に指摘され、我に返る。

「知ってる。わざとだ」

 新聞の上下を正しくさせ、何食わぬ顔で新聞を眺めた。
 なんとなく眠る気になれずに、風呂を済ませた後もダイニングでぼんやりしていた。

「お疲れですか?」

 遥はココアを晶の前に置き、自分もダイニングの椅子に腰掛けた。

「まあ、な」

 断っても毎日のように一緒に寝たがる遥を、警戒していたという理由だけではない。

 晶はココアを飲んでから、遥に懸念事項を投げかけた。

「これから、夜は一緒に飯食えないかもな」

 一瞬、動きを止めた遥が、両手に包んでいた手の中のマグカップを、ギュッと握ったのがわかった。

「それなら代わりに、朝ハグしてください」

「だから、どうしてそうなるんだよ。ハグなんてするもんじゃないって、ずいぶん前に言ったろ」

「それなら食べるものですか?」

 だから!
 意味が通じなくなるのも、相変わらずかよ。

 揺れる瞳が、晶をとらえた。
 晶は視線を逸らし、なにも言わずに立ち上がった。

 遥は、聞き入れてもらえない雰囲気を感じ取った寂しさから、力なく頭を振り、こうべを垂れた。
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