女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 機嫌の直った遥と、ゆったりとした至福の時間を過ごし、帰路に就く。

「今の俺たちを見れば、誰が見ても恋人同士だ」

 レストランを出てから、二人は自然に腕を組んで歩く。

「達哉さんにも、見てもらいたいです」

「ハハ。惚れられるなよ」

 半分は本気のからかいの言葉に、遥は真面目に返した。

「あり得ませんよ。アキの恋人として、認めてもらえるかどうか」

「作業長に言い寄られただろ」

 一瞬、言葉に詰まった遥は、頭を振りながら言う。

「あの人は私がいいわけじゃなくて、自分より背が低くて、並んだ時に、男として馬鹿にされない人がよかっただけで」

「本気でそうだとしたら、見る目がないな」

 背は確かに低い。
 化粧っ気もない野暮ったい女で、立場的に自分が上でいられると思ったのだとしたなら。

 遥のどこを見ているんだと、言ってやりたい。
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