女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 真っ直ぐに向けられる眼差しから、遥は逃げるように顔を背けた。

「あの、座りたい、です。見下ろされるのは、少し怖くて」

 遥の脇に手を差し入れ持ち上げると、ベッドの端に座らせた。
 晶はその傍らのフローリングに膝を付き、遥と目線を揃えた。

 座った時に、いつも見上げている顔が近づくのは嬉しかった。
 ベッドに横になった方が近いは近いのだけれど、それでは自分の心が心許なかった。

「これでどうだ。怖くないか?」

 遥の気持ちを汲み、極力遥を怖がらせないように配慮してくれる晶に、胸がトクンと温かくなる。

 晶は目を伏せ、心の内を明かした。

「俺も少し怖い」

 遥は手を伸ばし、晶の頬に触れた。

「アキも、怖かったら言ってくださいね」

 目を丸くした晶は、ククッと笑った。

「ああ。そうだな。途中、突き飛ばしたら、ごめん」

 表情を和らげた晶が、そっと遥の唇にキスをする。
 その優しい触れ方に、胸がキュンと甘く鳴いて晶に抱きついた。

「なに。もうギブアップ?」

「あまあまなアキは照れます」

「馬鹿。こっちにも照れが移る」
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