女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 晶の顔を覗き見ようとした遥に、再びチュッと唇が重なった。

「もう」

 拗ねた声が出ると、「ハル、可愛いな」と言われ慣れない甘い言葉を囁かれ、ぶわっと顔が熱くなった。

「恥ずかしくて、無理かもしれません」

 手で顔を覆うと、晶は顔を覆う手に隠れていない頬にキスをして、そこから首すじにもキスをする。
 耳までキスをして、触れられていない背すじの方にぞくぞくとした痺れを感じ、声を漏らした。

 その声を聞いた晶が、固まったのがわかった。

「ごめ、んなさい。変な声」

「いや、正直驚いたけど」

 言葉を切った晶の表情が見たくて、両手の隙間から盗み見ると、困ったような顔で続きを漏らした。

「ハルの声なら、いい、かも」

 そう言って、また耳にキスをしようとする晶の体をグッと押した。

「なにがよくて、なにがダメなんですか」

 晶は目を逸らし、口元に手を当てて言った。

「学生時代に見た、卑猥な映像」

 ドクンと胸が騒がしくなって、晶の服を握りしめる。

「ハルに触れたいけれど、それを思い出しそうで怖い思いも、多少はあって」
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