女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 体ごと背けた背後から、うなじにキスを落とされ、声を漏らす。

「ハッ。また弱いとこ見つけたな」

 からかわれたような声を聞いて、怒りが爆発した。

「嫌なら、離してください。二度と化粧もしないし、スカートも履きませんから」

「俺に合わせるは必要ない。好きにすればいい」

 突き放したような声に感情はますます決壊して、涙を滲ませて本音を漏らす。

「アキに綺麗って言ってもらえなかったら、する必要ないじゃないですか」

「自分が楽しければいいだろ」

「そこまでしたかったわけじゃ」

 ため息を吐いた晶が「悪かったよ」と、頭をかき回した。

「俺のためって言うのなら、しなくていい。今後、ハルが化粧やスカートを必要とする時が、来るかもしれない。その時は」

 ドクンと胸が騒いで、目を閉じる。
「その時は、俺の前から姿を消してくれ」とか、酷い一言を覚悟していると、晶は小さく言った。
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