Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
Jet Black







随分と人の減った割には、部活に励む生徒達の活気で学校は静かでは無かった。

今日もまた美穂が「優子が一緒に帰ってくれない」と不貞腐れながら夏川と教室を出ていくのを笑って見送る。

まだ新年度二日目の今日、クラス替えによってぎこちなさの残るクラスメイト達は全員教室から出ていって、私は一人春の柔らかな風が頬を撫でていくのを感じていた。


知らない生徒が急いで部活に向かっている所を上から眺めていると、スカートのポケットに入れているスマホが振動するのを感じる。今日はポケットから鞄に移すのを忘れていたようだ。

LINEのメッセージが届いた時にだけ鳴る決まったバイブレーションのリズムに私はスマホを取り出した。

電源ボタンを一度押すと、ロック画面に通知が表示される。



「ユウ……?」



今日はユウは大学に遅くまで残らないといけないから迎えには来れないと言っていたし、まだ学校から帰ってもいないのに何の用だろうと不思議に思う。
すぐに通知からアプリに飛ぶと、「迎え行けることになったんだけど駅前のカフェ046に来れる?」と来ていた。


「あれ、大学大丈夫なの?」と送ると「急に大丈夫になったんだよ」と返ってくる。
大学のことはよく分からないけど、抜け出して来たのだろうか。



「初めてじゃない? そこのカフェ入るの」


「たまには良いかなと思って」



「了解」とだけ送って、私は学校を出た。



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