Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「それで、私は卒業と同時にあいつと縁を切ったんだけど……今日、達弘が話し掛けてきて。今度はお前が相手しろって」
新しい女を紹介出来ないなら、と。
私はそんなつもりで翠を達弘に紹介したのではない。私はただ――。
でももうそう言うことも出来ないんだ。
正直、今は何も言わないで欲しかった。例えどんな言葉でも、今の私は自分を攻撃する言葉に変換してしまう。
そして、そうやって自分を守ろうとする自分にも呆れてしまう。
ああ、話さなければ良かったかな。全て悪い思考に陥るのが苦しい。
「達弘の名字って何?」
少し間が空いて彼が放った言葉はあまりに予想外過ぎて、私は拍子抜けした。
「えっと……高田、だったかな?」
そうやって気の緩んだ一瞬で、彼は私を引き寄せた。
「高田達弘ね? 了解」
了解って何が了解なの? てか、行動と言葉が一致してないですけど。
彼の体温に包まれながらそんなことを考える。
そして再び彼の凄さを実感する。苦しかった胸が、ほんの僅かだけ軽くなってる。
「何かあったらすぐ言えよ」
「……うん」
ここで首を横に振っても押しきられることなんて分かっていたから、私は大人しく頷いた。