もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「天井掃除させられてた」
「天井掃除?」
想像とは違った言葉に私が聞き返すと嶺が笑った。

「意外と大変なんだぞ?天井掃除。ずっと腕をあげたままになるし、ここ広いからさ。もう、拷問だよなー。」
「ふふっ」
初めて過去の私に、私らしさを感じて笑うと嶺が私の頬に手を触れた。

「ん?」
嶺を見ると、その顔が泣き笑いのような表情になる。
「初めて、笑ってくれたな。再会してから、初めて。うれしい。」

まただ・・・

嶺の言葉や表情に私の胸が勝手に高鳴った。

私が自分自身にも戸惑っていると、嶺は部屋の案内を続けてくれた。
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