もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「鈴」
一口紅茶を飲んだ嶺が空を見上げて話始めた。

今夜は星がきれいだ。

「まだ話してなかったことがあるんだ」
「ん?」
「ずっと言えなかった。」
「なに?」
「せっかく再会できたのに、鈴に嫌われるようなこと言えなかったんだ。思い出してほしくなかった。ごめん。俺すげーずるいこと考えてた。」
嶺が私の方を見て、真剣なまなざしを向ける。

「鈴と喧嘩したんだ」
「・・・?」
「鈴がいなくなる少し前に、けんかした。初めて。」
「・・・」
「俺たちはめったに喧嘩なんてしなかったんだ。時々、言い合うことはあったけど、仲直りが必要なほど大きな喧嘩はなくてさ。」
「・・・」
「でも、あの喧嘩は俺たちに溝をつくるような喧嘩だった。」
話にくそうな嶺の様子に私は少し緊張した。
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