もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「約束やぶってごめんな。」
俺は病室のベッドの上で眠る鈴の隣に座って、鈴の頬を撫でた。


鈴。

初めてであった時のように、か細く痩せてしまった鈴の頬。
その頬にぬくもりがあることに安堵する。


守れなかった命に、俺自身が苦しくて生きることをあきらめようとしていた時に、俺を救ってくれたのはほかの誰でもない。鈴だった。

「鈴は俺の天使だよ。今も。鈴・・・」


その名前を呼んでも、何も反応はない。
それでも、俺は話し続ける。
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