もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
体が自分の思いとは裏腹に動かない。
動かせない。

それでも必死に手を伸ばすと、恭は私の方へすぐに駆けつけてくれた。

私の手を摑まえると、恭の方へ無理に動かした私の体が大きく傾き、恭はそんな私を自分の体で抱き留めてくれた。

「・・こわ・・・い・・・」
「大丈夫」

今はほかの誰でもない。

恭の、この『大丈夫』が必要だった。

「彼女をご存じなんですか?」
立ち尽くしている”誰か”に恭が話しかける。
「私の婚約者です」

背後から落ちてくるその声に私は脳裏に家に置いてあるダイヤのついた指輪を浮かべた。
< 47 / 432 >

この作品をシェア

pagetop