月刊ヤングMAGAZIN

「椛、アイスクリーム食べる?」



「うん、食べる!」



「バニラ?チョコ?」



「どっちも!」



「ハイ、ハイ…」



椛、いつもよくばるからな…



「あのね…
遊園地のチケット
前にお世話になってた
マネージャーさんからもらったの」



「マネージャー…って
雑誌の仕事してた時の?」



「うん

嵩琉、あのね…
また雑誌の仕事しないかって誘われてるの」



「え…」



「グラビアはもちろんやらないよ
ファッション誌のだけだから…」



「そーなんだ…」



遊園地のチケットで

買収されてんじゃねーよ!



「嵩琉、前に褒めてくれたよね?」



椛の中では

きっともぉ決まってる



やりたいんだろうな…



あの時の椛、輝いてた



今ももちろん輝いてる

オレだけのために



オレはそれで充分だけど

椛はきっとそれじゃ物足りないのかも…



「椛がやりたいなら、やりなよ」



「え!ホントに?」



「うん…」



椛、嬉しそう



「ホントに、いいの?」



ダメって言えない



ホントはヤダよ

すごくヤダ!



椛がまたみんなの椛になる

耐えられない



「うん、がんばって…」



「ありがとう、嵩琉」





ホントに…?



「椛…あのさ…

オレたち少し距離おかない?」



って言ったら

椛どーする?



「え…嵩琉…ホントに?」



それでも椛は

雑誌の仕事したいの?



「うん…」





どーする?



「うん…わかった」




< 346 / 380 >

この作品をシェア

pagetop