月刊ヤングMAGAZIN

仕事終わりに

富田さんと会社近くで食事して帰った



「久しぶりにちゃんとしたもの食べるかも…」



そう言って富田さんは

口に入れたローストビーフを

やっと飲み込んだ



「映画に誘った日
彼に別れようって言われました

その後、映画観たけど
ぜんぜん内容覚えてない

あれから1週間
生きてる感じしなかったです

毎日帰ったら泣いて
何食べても美味しくないし

橘さん見たら
橘さんも心ここにあらずって感じだったから
きっとナギさんのこと考えてるんだな…って
羨ましくなって…」



「…」



「え、泣いてます?橘さん」



「…泣いてます…

ごめん…

オレがあの日、
映画誘ってみれば…なんて言ったから…」



「そんな…
別に橘さん悪くないです

ずっと別れようって思ってたみたいだから…

別れようって言うのも
忙しすぎて面倒だったって…

私だけだったんだ
会いたかったのは…

私だけだったんだ
好きだったのは…

そう思ったら辛すぎて…」



「それは、辛いね…」



オレが泣いてるのって

富田さんのことでかな?



目の前にいる富田さんは泣いてないのに…



富田さん辛かっただろうな…



だけどさ



「泣かないでください、橘さん
私は、もぉ大丈夫です
前向きに考えることにしました

もぉしばらく恋愛はいいかな…って思って
旅行とか行こうかな…って
ちょっと長い休み取れたら
ちょっと遠くに行ってみたいな…って

あ、来月社員旅行あるけど行きますか?
そーゆーのにも
積極的に参加してみようと思ってます!」



女の人って

立ち直り早いね



「なので、大丈夫です!

橘さん、泣いてないで食べてください
サラダだけでいんですか?」



あーーーーー。°(°´ᯅ`°)°。



「あ、橘さん、お金貯めてるんでしたっけ?
ナギさんのために

よかったら私のローストビーフも食べますか?
私、デザートも食べようかな…
お給料出たし、私、奢りますよ!」



あーーーーー。°(°´ᯅ`°)°。



「オレも…
オレも…別れたんだーーー

どーしよ…
もぉダメなのかな…

もぉ取り返しつかないのかな…」



「え?」



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