死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
  俺はあづに会うのが嫌だった。あづは俺がどんなに突っぱねても来る。そのしつこさが俺は気にくわない。それに、異常だ。――子供が学校をさぼってるのを親が気にしないなんて。
 さぼってるのを知らないわけではないだろう。あづが言わなくても、先生とかから連絡が来るはずだ。――まさか、親が休ませてるのか?そうだとしたら休ませる訳はなんだ。虐待。いや、金を稼がせるためか? そうだとは思えなかった。
 あづは底抜けに明るく、俺と正反対の奴だ。
 虐待を受けたり、親にこき使われたりしているようにはとても見えない。それならなんで平日も朝から来れるんだ。
 神様が言っていた。――これ以上関わったらろくなことが起きないと。いや、第六感が告げていた。仲良くなるなと。
 それでも俺はあづを拒否れなかった。さっさと捨てればいいのに。姉のことをいったら、どうせこいつも俺を捨てるのに。どうせこいつも、親戚や同級生と同じように俺を人殺しというに決まっている。そう思うのに、俺はあづの優しさを拒否れなかった。帰れって言うくせに、医者に言って病室から追い出したりする気になれなかった。
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