死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
 
 三年持っただけ奇跡だ。後少ししか生きれないことくらい、どうってことない。それに、そろそろ死ぬだろうとは思っていた。一か月前、左腕が麻痺した時から。
 穂稀先生は俺を思って隠した。病気の症状は頭痛や嘔吐の他に、麻痺や意識障害もあるのに教えてくれなかった。

 あの時の俺は中一だったし、そんなこと言われたら耐えられないかもしれないと思ったから言わなかったのだろう。実際それは当たっている。俺はたぶんあの時本当のことを聞いたら、すぐに自殺していた。
 まぁそうはいっても、腕が突然動かなくなった時はびっくりしたし、何で言わなかったんだって穂稀先生に文句を言ってやりたくなったが。

 せいぜい動かせるのは指だけで、左腕は曲げようと思っても曲げられない。利き腕ではなかっただけマシなのだろうか。

 あと四か月か……。

 その間に、指や足も動かなくなったり、意識障害が起きたりして、車椅子生活を余儀なくされるんだろうな。最悪、寝たきりになったりするのだろうか。考えるだけで嫌になるな。まぁ、仕方ないが。

「赤羽くん、君が望むなら退院もできる。死ぬまでずっと病院にいても、つまらないだろうからね」
「少し、考えさせてください。風当たってきます」
 俺はベッドから降り、先生を見て言う。
「それなら、私も付き添おう」
「……いいですよ。別に腕動かなくなったって屋上くらい行けますし。それに、一人になりたいので。何かあったら連絡します」
「……わかった。無理しないでね」
「……はい」
 俺は病室を出て、屋上に向かった。
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