恋って西洋風グミの味?

誤解の顛末

「松下さん」

あたしはつい戻ろうとしていた松下さんを呼び戻した。

「あのさ、失礼なんだけど、大槻の…どこがいいわけ?」

ふと思った素朴な疑問。
いや、悪いやつではないことは知ってるよ?だけど、あんなきつい態度とられてまで好きって相当じゃないかな?

「ん~…あの寡黙で伏し目がちに本読むところとか…あんまり人と関わらないところとか…かっこいいなと思ってたんだけど」

そう言うと松下さんはちょっと顔を赤くした。
待って、松下さん、大槻は意外と寡黙じゃないんだよ!と言ってあげたかった。
そっか、これはあたしだけが知ってる大槻か、なんだか不思議な優越感。

あと、意外と男らしいってところも付け加えておこうか。

「あと…大槻の好きな人って……誰?」

これは口から自然と出てきてしまった言葉。
すると松下さんはクスッと笑って答えた。

「神菜ちゃん、わかんないの?」

え?何その分かりやすそうな言い方。
う~ん、大槻との付き合いの長さの差かしら。

「わかんないよ、だってあたし大槻のことなんも知らないもん。」

「あはは、それは秘密。」

むむぅ~そこを秘密にするとは…松下さん意外とやるな。

「神菜ちゃん興味ある?」

「なっ、ないよ、ぜんぜんっ!!!」

思わずそう言ってしまった。

…正直、興味あるんですけどね…。

「とりあえず、図書委員あるから戻るね。今日は30分で終わるから優喜君もすぐ来ると思うよ。」

そう言うと松下さんは図書室に戻って行った。
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