俺様社長は溺愛本能を隠さない

「都筑さん……見ないでください」

か細くそんなことを言ったのは逆効果だったらしく、彼は余計に近づいて、キスをする距離まで迫ってくる。

「なんか今日、すごく可愛い。なんで?」

「や……」

あ……ダメだ。キスされる。

困った顔を作ろうと思ったのに、表情は甘く溶けていく。
さっきの優越感がまとわりついて気分が良くて、こっちもキスをねだるような視線さえ送ってしまう。

もちろん、私達はキスをせずにはいられなかった。

いつも攻め方に余裕がある都筑さんも、今日はだらしなく求める私に引っ張られている。
貪るようなキス。

「有村……逃げたり誘ったり、俺のこと弄ぶなよ」

お互いの興奮した眼差しに、私たちは煽られていく。
ここは会社なのに、そう思うとさらに気分は盛り上がった。

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