イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

素肌に触れる生温かいその吐息から逃れようと、きつく瞼を下ろした。

その裏に、大切な人を思い描く。

今、後悔があるとすればただ一つ。
初めてを、あの人に捧げられなかったこと。

でも、これでいい。
どうせ、わたしたちに未来はなかった。

「っ……!」

スカートがまくれ上がって、太ももが冷たい外気に晒され。
撫でまわしながら上がってくるざらついた手に、全身がガチっと硬直する。

坂田くんにも同じように触れられたことあるのに。
どうしてこんなにも違うんだろう?

今はただただ、不快にしか思えない。


「素直に泣けばいいのにね。どこまで我慢、できるかなァ?」

くっくっと楽しそうな嗤い声。

助けて――
声をあげれば、あるいは誰か……

緩みそうになった唇を、かろうじてきつく噛んで耐えた。


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