イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ダメだ。
叫んじゃいけない――彼のために。


わかってる。
どんなに想っても、彼はわたしのものにはならない。

彼が愛しているのは、他の女性(ひと)で。
わたしは、その他大勢の一人でしかない。

でもそれでいい。
あの笑顔が、また見られるなら。
彼が笑って前に進んでいけるなら、それで。

恋は盲目――まさか自分が、そうなるなんて。

一体いつの間に、こんなに彼に惹かれていたんだろう。
こんなに彼を、好きになっていたんだろう。

走馬灯っていうのは、こういうことだろうか。
彼と過ごした日々が、アルバムをめくるみたいに次々と頭の中に流れていく。

もう、全部おしまいだ。
わたしは、ここで――


せめて、この男を喜ばせるような声だけは、あげたくない。
心にかたく蓋をするように、ゆっくりと、目を閉じた。



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