イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

今、わたしたちの車は、坂田くんの地元・川崎へ向かってる。
しのぶさんに会うためだ。

警察へは、朝一番で行ってきた。

そこで待っていたのは、なんとスマートにスーツを着込んだ流さん。
彼の本業が弁護士で、坂田くんから今回の件の相談を受けていたことにもびっくりしたけれど。
すでに示談が成立したと聞いて、さらに驚くことになった。

なんと、河合さんの父親は国政を狙う都議会議員だったの。
流さんは、集めた証拠(もちろん宇佐美さんたちが調べたものも含めて)をずらっと本人と父親の前に並べた。

それによると、実は河合さんが問題を起こしたのは今回が初めてじゃなく、過去にもストーカー行為で訴えられそうになったことがあるらしい。
そしてその時は、父親の知人だという警察上層部の一人が間に入って、もみ消してくれたそうで。

その人物の名前まで表に出す用意があると畳みかけられた父親は、顔面蒼白だったとか。

そしてその上で、今後一切わたしたちに関わらないこと、
息子を都外の病院に入院させること、等々、昨夜の内にすべての交渉を終えたそうだ。

――本人はぎゃあぎゃあ言ってたけど、スキャンダルをチラつかせたら、父親はすぐこっちの要求を丸のみしたよ。あいつの歪んだ性格は、家庭環境によるところが大きいだろうな。優秀な兄2人と常に比較して育てられたらしいから。

流さんの話を聞いて……
もしかしたら、彼の心の闇にはそれなりの事情があるのかもしれない。
とチラッと考えたけど。

もちろん、同情するつもりはない。

わたしへの強姦未遂については、もちろん坂田くんの件とは別で、訴えることも可能だと言われたけど、これ以上関わりたくなかったから、もういいですと伝えた。
これ以上同じ事件が起きないなら、それでいい。

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