イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
23. Party!

そして、季節は進み――桜の開花情報が紙面を彩り始めた3月下旬。
その日の夕方、わたしがいたのは六本木の超高級ホテル・シェルリーズだ。

【YKD創立記念祝賀会場 受付】と書かれたテーブルで、続々と訪れるクライアントに対応、受付業務に勤しんでいる。

毎年行われてるこの立食スタイルのパーティーは、懇親会も兼ねているため、社員は基本的に誰でも参加OK。

ただ、役員や来賓と一緒に飲んだり食べたり、を敬遠する人もいて。
メンバー全員が顔をそろえているのは、この会を取り仕切ってる総務と、クライアントを招待してる営業くらいだったりするんだけど。
最終的には500人程度の来場予定だ。

そろそろ……来賓はほぼ集まったかな。
そんなことを考えながら招待客リストを確認していた時だった。


「美弥子先輩、もうこっちあたし一人でいいんで、そろそろ中にどうぞ」

並んで立つ光莉ちゃんが、腕時計に目を落としながら言った。

「まだ大丈夫でしょ。それに中には梓沙さんがいるし、係長たちもスタンバイしてるから、そんなに人いらないし」
「いやいや、そう言わず、美味しいもの食べてきましょうよ」
「えぇ? それを言うなら、光莉ちゃんだって食べたいでしょ?」

正直なことを言うと……
なんとなく中に入りたくない、のよね。

さっき会場入りした坂田くんの注目度を思い出して、こっそりため息をつく。
関係ないホテルの滞在客まで、足止めて見惚れてたもん。

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