俺様幼馴染の溺愛包囲網
この学校だって、卒業生だけど、
みんなとはちょっと入学の理由が
違ったじゃない。

……とまあ、ネガティブになってたわけ。」

聖くんの家は、ご両親共に敬虔なカトリックだ。
家族全員、生まれてすぐ洗礼を受けている。
この学校では、学年に1人か2人、
そういう生徒がいる。
いわゆる“信者さん”だ。
信者さんの生徒は、ミサのお手伝いをしたり、宗教的な行事のリーダーになる。
聖くんも幼稚園期からお手伝いをしていた。

「……ホント、ネガティブだね。
雅ちゃんも、見くびられたモンだわ。
雅ちゃんが、何を求めているか、
わからない聖くんじゃないでしょう?
何年お付き合いしてきたの。
いえ。
そもそも、出会って24年、
何見てきたの?
雅ちゃんは、聖くんしか見てないよ!」

ああ、まずい!
ついつい言い過ぎてしまう。

「……ごめんなさい。
出過ぎたことを言って。」

「いや、いいんだ。ありがとう。

……そうだよなぁ。
雅が、朝倉さんと一緒になった方が
経済的にも社会的にも今より恵まれて
幸せになれる、って思い込んでた。

朝倉さんが訪ねてきて、
ちょっと……いや、かなり動転してたみたいだ。」

目が覚めたよ、と穏やかな笑顔。

良かった。
いつもの聖くんだ。

「雅ちゃん、待ってるよ。」

「うん。
これから会って、話し合うよ。
プロポーズ、してくる。」

「はい!頑張って!」

「うん。
結衣子も、あいつ研修医になったし、
そろそろだろ?」

「あいつって、亮平?
私達はそんなんじゃないんだけど…。」 

付き合ってるわけじゃないから、
そう言うと、ポカンと口を開けて
無言で私を見る。

「え?え?
いや、付き合ってるよね⁉︎」

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