青の世界のあなたと、記憶をなくした私との365日の恋物語
玉ねぎやナス、ピーマン、ズッキーニ、セロリなどの野菜をオリーブ
オイルとニンニク、唐辛子で炒めて、トマトを加えて香草とワインで
煮ていると、美味しそうな匂いが鼻に届く。

「うわ~、美味しそう!」

「このままおかずとして出してもいいし、パンと一緒でもいいよ。
 後は、パスタにかけても美味しいよ。」

「一つで色々楽しめるんですね。」

「うん、便利でしょ。」

私はフランスパンと一緒に出すことに決め、環さんが帰ってから
簡単に野菜のスープも作り夕食の準備を進めた。

夕食の時間になると、蒼が仕事の作業部屋からリビングに顔を出した。

「お~、良い匂いがするな。」

「はい、今日は環さんにラタトゥーユを教えてもらったんですよ。
 夕食にするので、蒼さんは手を洗ってきてくださいね。」

「了解。」



ダイニングテーブルに夕食を並べていると、蒼が戻ってきて席に着く。

「美味しそうだな。」

「食べましょうか。いただきます。」

「いただきます。」

二人で手を合わせて食べ始めた。

私は初めて作った料理の出来にドキドキしていると、蒼が「美味い!」
と褒めてくれ、胸をなでおろした。

基本、口数の少ない蒼だったが、私の作る料理をこうして褒めたり
掃除の礼も口に出して伝えてくれる。

そんな蒼に、私も頑張ろうと張り切るのだった。



< 44 / 86 >

この作品をシェア

pagetop