終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
ラピスラズリの本社まで2人で歩く。
「榎本さん新卒なんですよね、ということは今年21歳?」
「はい」
「じゃあ僕と4歳差ですね」
「そうですか」
「ラピスラズリは得意先なんでこれからも一緒に仕事する機会あると思うんで仲良くしてくださいね」
「こちらこそ」
…会話が続かない。
受け答えはしてくれるけど全然楽しそうじゃない。
それに狭い傘の中今日初めて会った男と一緒だからかさっきよりもきつくリュックを抱きしめ体をギュッと縮めてる。
やっぱ嫌われてんのかな。
それとも男慣れしてないだけか?
でも、別に緊張してる様子でもない。
やっぱ俺が嫌なのか?なんで?
「1つ聞いてもいいですか?」
「なんでしょうか」
「なんでそんな眼鏡かけてるんですか?」
「え…」
「思い入れがある眼鏡だったらすみません。でも、その眼鏡のせいでせっかくの可愛い顔がもったいないなー、なんて」
褒め言葉だ。
俺はそのつもりだったけど、彼女には不快だったみたいだ。
「あなたみたいな男の人が煩わしいからです」
バッサリ吐き捨てられた。