終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
「…さん…律兎さん!」
目の前で叫ぶチュー多の声で我に返る。
「え、何?」
「こっちのセリフですよ。どうしたんですか?ずっと魂抜けてましたけど」
スマホを開き、あれから6時間以上経ってることを認識する。
「今日はこれで終わりなんで車回してきます。ここで待っててください」
そう言い駐車場へ向かうチュー多をぼーっと眺める。
思った以上に結の態度がショックだったらしい。
どうやって事務所に来たか覚えてないし、仕事の内容もぼんやりとしか思い出せない。
そんなに嫌だったのかな…。
結の首筋に触れた唇を撫でる。
ふんわり香るシャンプーの匂いが忘れられない。
またすぐ触れたい。
でも、あの様子じゃしばらくは警戒されそうだな。
倒れこむようにエントランスのソファーに体を預けた。