心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵

しばらく 更衣室に 寝かされていた私。

意識が戻って ゆっくり 体を起こす。


私 気を失っていたんだ…


バイトに来たのに 仕事もしないで

みんなに 迷惑をかけてしまった。


時計を見ると まだ30分くらいしか 経っていない。

仕事に 戻らなくちゃ。


立ち上がった途端に 強い吐き気に襲われて。

私は トイレに駆け込む。


昨日から 何も食べてない胃から

苦い胃液を 吐いて。

トイレから出ると あゆみさんが 立っていた。


「大丈夫?麻里絵ちゃん。」

「すみません。迷惑かけて。」

「ううん。そんなこと 気にしないで。更衣室で 休んでいていいから。」

「ホントに ごめんなさい。私 帰っていいですか?」

仕事もできないのに ここにいても 迷惑になるだけ。


「仕事 終わったら 私が送るから。それまで 更衣室で休んでいて。」

私が 1人で居たくないって 言ったから。

「そんな。迷惑かけられない。」

だから 帰ろう。1人の部屋に。

「いいの。少し 落ち着いたら スープでも 持っていくね。」

あゆみさんは 私の背中を押して 

更衣室に 連れて行ってくれた。


それ以上 抵抗する 体力も気力もなくて。

私は そのまま 更衣室の長いすに 横たわる。


昨夜 ほとんど 眠ってない私は

更衣室の外の ざわめきを聞きながら

いつの間にか 眠っていた。




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