心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵

田辺さんの胸で しばらく泣いて。

「ごめんなさい。ワイシャツ 汚しちゃった。」

顔を上げた私は 田辺さんの 胸元を触る。


「麻里絵ちゃん 泣き虫だから。」

私の肩を 抱き寄せたまま 田辺さんに言われ。

「私 泣いたことなんて なかったの。」

「俺が 泣かしたって?光栄だなぁ。」

もう一度 頭を 胸に抱き寄せられて。


「無理しないでね。泣いたり 笑ったり 怒ったり。全部 俺に ぶつけていいからね。」

「どうして そんなに優しいの?」

「麻里絵ちゃんが 好きだからでしょう。」

そんなことも わからないの?という顔で 田辺さんは 苦笑した。


「私 すごく 依存しちゃうかもしれない。」

8年ぶりの恋だから。

加減が わからなくて。

「いいよ。寂しい時は 寂しいって言って。我慢しないで。」

「煩いって 思わない?」

「俺の方が 煩がられるくらい 溺愛しちゃう。」

「溺愛って…」


田辺さんの胸で 目を上げて クスッと笑う。


「やっと笑った。」

そう言って 田辺さんも 笑いかける。

「次の休みは 朝から デートだよ。」

「火曜日?」

「そう。火曜日。]

[どこに行くの?」

「それは これから 考えるの。」

田辺さんの言葉に 私は 笑顔になる。


踏み出してしまった。自分から。

でも もう 子供じゃないから。

傷付いても 後悔しないと 私は思った。






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