心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵

都会の真ん中にある大学は

私が 思い描いたような キャンパスはなく。

ビルの入り口から いきなり大学になる。


中学も 高校も 恐ろしく広い校庭があったから。

道路から すぐに入る大学に

私は なかなか 馴染めなくて。

いつも 掲示板の前で ため息をついてしまう。


「おはよう 麻里絵。」

ポンと 肩を叩かれて。

振り返ると 理沙が 笑っていた。

「あっ。理沙。おはよう。」


入学して 最初に友達になった理沙は

東京出身で 付属高校からの 内部進学組。

だから他の学部にも たくさん友達がいる。


明るくて 活発な性格で。

羨ましいと思うけど

私には 真似できない…



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