心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵

毎回 きちんと 宿題をやってきて。

順調に進む 打ち合わせを

寂しく思ってしまうくらい。

私は 楽しんで 打ち合わせをしていた。


「私達 野村さんが 担当で ホントに よかったです。」

私の 小さなアドバイスを 喜んでくれて。

「私こそ。毎回 高梨さんの 打ち合わせは すごく楽しみなの。仕事なのにねぇ。」

「家が 完成したら 絶対 見に来て下さいね。」

「わぁ。ありがとう。」


今の私は 高梨さんの言葉を 素直に喜べる。


家がほしい 気持ちとか。

そこで 暮らす 愛する人との生活とか。


リスクを負ってでも 家を建てようとする気持ちを 理解して 応援できる私になれたから。


時々 世間話しを 混えて。

笑い声を 響かせていると


純也が モデルルームに 顔をだす。


「何か 楽しそうですね。僕も 仲間に入れてほしいなぁ。」

さり気なく 私の隣に 腰を下ろして。

「えーっ。野村さん どうします?」

奥様は 笑顔で 私を見る。


「俺 田辺さんに いてほしい。2対1で いつも 負けてるから。」

私が 答えるより先に ご主人が 返事をして。

嬉しそうに 頷く純也。


「じゃ 女性陣に 負けないように 僕がいた方がいいですね。」


純也の言葉に 私は クスクス笑う。


ありがとう。

純也と一緒に 打ち合わせなんて。

夢みたいに 楽しいよ。


何も気づかずに 頭を下げる 高梨さんに

私も純也も 心で お礼を言っていた。




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