男心と春の空
投げ槍
弥生ちゃんから連絡が来たのは1週間後のことだった。

おーい

だけのメッセージを受け取る。

少し気が重かった。

首をポリポリ掻きながら、ベッドの上で「なんて返そう」なんて考える。

どこかでこのまま自然消滅になるのかな、と思ってたし、実際それはそれで快適だと感じてしまう自分がいたからだった。

スマホを何度も手にしては布団の上に置く、を繰り返す。

その時、タイムリーにも樋川から連絡が入った。
通知でスマホの上部に文面がそのまま映る。

「アキナちゃんと遊ぶことになった」

「えっ」と思わず独り言を吐き出してしまった。

嘘だろ。
ちゃっかり仲良くなってたのかよ。

心がズドーーーンと重くなった。

通知が消える。

まあ、まだ付き合ったわけじゃないし。
と思いつつも、なんだかすごく傷ついてる自分に嫌でも気付く。

いや、樋川とアキナが付き合うわけないだろう。

「おめでとう」と打とうと上半身を起こすも、素直には祝福できない。

アキナは俺のものだったのになあ、なんて思う自分の傲慢さが嫌になる。

分かってる。
俺のものになったことはない。

弥生ちゃんにメッセージを打ち返す。

久しぶり。今暇?

最悪だなあ、俺。
そう思いながら、続けて打った。

うち来ない?

心が虚しさでいっぱいだった。

行く

とすぐにメッセージが入る。

ダメな人間だ。

俺ってダメな人間だ。

そう思いながらも、心が弥生ちゃんを求めてしまっていた。

そのまま布団に倒れた。

1時間後、インターホンが鳴った。
モニターに弥生ちゃんが映る。

「弥生です」

という声を聞くと同時に「はーい」と俺は解錠ボタンを押す。

久しぶり(って言っても1週間だけど)の弥生ちゃんはやっぱり可愛かった。

「なんか飲むかなって思ってジュース買ってきたよ」

はにかみながら、レジ袋をヒョイと上げて見せてきた。

可愛いなあ。

素直にそう思う。

弥生ちゃんだけを知ってたら良かったのに。

弥生ちゃんだけを知ってたら、大好きなままだったのに。

俺は弥生ちゃんの腰に手を添えると、リビングを無視して自分の部屋に誘導した。

下心ありありなのは弥生ちゃんも分かってるようだったし、そのつもりでうちに来たんだと思う。

一口それぞれにジュースを飲むと、お互いに視線を交わした。

弥生ちゃんが俺の正面に座って首に腕を回す。

そのまま向こうからキスをしてきた。

舌を絡ませてはたまに唇を離して目を見る。

そしてまたキスをする。

俺はそのままベッドに弥生ちゃんを転がす。

キスをしながら弥生ちゃんの服を脱がせた。

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