男心と春の空
その時、もたれていたドアがグッと後ろに開いた。

「うわっ」とカッコ悪い声と一緒によろけた。

「え、なに。」

矢野英子も驚いて止まった。

シンプルなTシャツに綺麗なスタイルのデニムにスニーカー。
いつもの矢野英子だ。

ガッツリ目が合う。

「矢野さん」

言葉が脳を通過することなく、脊髄反射的に口から出てきた。

「今日、矢野さん家行っちゃダメすか。」

俺もなんでこんなことを言ったのか分からない。
っていうか、本当にダメな男だ。

矢野英子はすごくソフトな口調で「うん、いいよ。」と言ってくれた。
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