桜の色は、藍色の花…
いずみといろはが入って、半月が経った。
そんなある日、やっと、あおはは、仕置部屋から出してもらえた。
あおはは、あたしに対して、まだ、敵対心剥(む)き出しだった。
あたしも、負けじと、敵対心を出した。
何も知らない、いずみといろはは、もみじに聞いた。
二人は、話を聞いて、「かがりは強い。」と思われるようになった。
朝ご飯の後、おみつが来た。
「おみつさん!!」
あたしは、おみつに抱きつき、おみつは、あたしの頭を撫でた。
「久しぶりだねぇ。
元気にしてたかい?」
「うんっ!!」
「それより、引っ込み禿になったんだって?」
「うん!!」
「すごいじゃないか!!」
「ありがとう!!」
「毎日、頑張ってるのかい?」
「うん!」
そこへ、おせんが来た。
「かがり!
そろそろ、楼主のとこに行きな。」
「はい…。
おみつさん、またね…。」
あたしは、楼主のとこに行った。
あたしが去ると、おせんとおみつは、話し始めた。
「今回は、この子達かい?」
「そうだよ。」
「じゃあ、この二人を買おうか。
この二人は、何歳だい?」
「二人とも、五歳だよ。」
「じゃあ、買った。」
「十四両だよ。」
「はいよ。」
「毎度。」
おみつは、お金を受け取り、懐に入れ、他の子を連れて、違う見世に行った。
その頃、あたしは、楼主から、教えを受けていた。
今日は、手紙の書き方。
「太夫になれば、手紙も上手くないといけない。
文字は書けるのか?」
「はい。」
「よし!
じゃあ、書き方を教える。」
「はい。」
あたしは、手紙の書き方を、教え込まれた。
「今日は、これで終(しま)いだ。」
「ありがとございました。」
「かがり。
新造の違いは聞いたか?」
「少しだけですけど…。」
「なら、その話しをしよう。
何を教えてもらった?」
「順番だけです。」
「なるほど。
じゃあ、話そう。
新造ってぇのは、見習いってぇことだ。
おめぇさんお含め、禿が、十四になった時になるもんで、金について話すと、振袖新造と、留袖新造は、担当の姉女郎が払い、引っ込み新造は、わしが、払うから、借金になる。
借金は分かるか?」
「はい。」
「今も、おめぇさんのは、借金だ。
借金の支払いは、十六になった時から、払ってもらう。
十六になると、男と遊ぶようになる。
だから、その時から、払ってもらう。
分かったか?」
「はい!」
「おめぇさんは、引っ込み新造だ。
その後、おめぇさんは、格子太夫になり、太夫になる。」
「分かりました。
頑張らせて頂きます。」
この頃の、子どもは、殆どの子が書けず、書けれる子は、とても、少なかった。
書けれるというだけで、重宝された。
その頃、おせんの部屋では、買われた、子達が居た。
「まず、名前を聞こうか。
お前から、名前を言いな。」
おせんは、自分から見て、右側の子から、言わせた。
「わたしは、おさよです。」
おさよは、つぶらの瞳で、可愛い顔立ちだった。
次に、左の子が、答えた。
「私は…、おはる…です…。」
おはるは、たれ目で、右の涙袋に、ほくろがある。
おせんは、おさよに、ぼたん。
おはるに、すみれと名付けた。
それから、二人に、吉原の事、名前の事、若い衆の事、姉女郎の事、禿の事、全て、話した。
晩ご飯前、あたしは、おせんの部屋に呼ばれた。
行ってみると、二人がいて、二人から、名前と歳だけの挨拶をされた。
あたしも、二人に、挨拶をさせられた。
二人は、あたしの挨拶に驚いていた。
おせんは、得意げに言った。
「これが、引っ込み禿ってもんだよ。
かがり、もういいよ。
晩ご飯、食べておいで。」
あたしは、返事して、一礼して、食堂に行った。
あたしの、すぐあとに、二人が来た。
二人は、あたし達に、名前と歳を言って、一緒に晩ご飯を食べた。
その後、あたしは、自分の部屋に戻り、眠った。
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